ネットプロモーター経営

NPSが注目されている理由

不誠実な経営が世の中に横行し、不誠実な経営は企業成長を損ねている

コールセンターの電話が巧妙に隠され、逆にいらない商品を営業されるなど

悪しき利益は企業成長を妨げる

批判顧客が警告し、企業成長を阻害する

もっと誠実で良質な企業が競合に参入してきたら、価格戦略ではもはや打ち勝てない

ゴリ売りのセールスマンを雇い、キャンペーン広告を売っても、サービス、企業に対する満足度が低ければ一時的な利益で終わってしまう

企業が成長するには?

顧客満足度を上げ、推奨者(プロモーター)を増やすこと

アマゾン

宣伝にかけるお金を無料配送や価格低下に使った

バンガード(信託銀行)

残高が大きい顧客や長期保有している顧客からもたらされる利益を計算し、彼らに還元した(金利優遇など)

サウスウェスト航空

席変更や荷物預け入れの手数料をもらわない

価格を透明化・シンプル化

基本的価値観

人は基本的に善良だと信じる

全ての人が何かしらで貢献できるものを持っている

正直でオープンな環境には人に備わる最善のものを引き出す力があると信じている

全ての人を尊重しなさい

自分が人々からされたいと思う接し方で人々に接しなさい

イーベイ

従業員同士で、下の「基本的価値観」にそぐわない行動を会員に対していると従業員が判断した場合は、積極的に指摘するように奨励している

会員サービスを向上させる新たなアイデアを提案するように奨励している

会員が買い物をした後に売り手に対するレビューを行うポップアップ

NPSとは?実例も

顧客リレーションシップの経済効果の測定方法

顧客維持率

半年から一年の平均購入額により、推奨者、批判者自社が受けたマージン

ポイント別顧客セグメント

10ポイント中9以上が推奨者

7~8ポイントで中立

6ポイント以下で批判者

口コミ

費用対効果

年間購入額

DELLの批判者の損失コスト

批判者1人につき、年間約4人に批判的なコメントを伝える

サービスクオリティ(SQi=顧客NPSアンケート)(=NPS)指標を表彰制度と連動させる

SQiで評価をすると名言し、何度も繰り返し伝える

ESQi=エンタープライズ・レンタカー社のSQi

焦点の絞り込み

質問項目を集約して、項目を減らし、本当に知りたい項目に絞る

顧客が不満な場合は、調査員が電話で謝罪し、スタッフから改めて電話をさせていただくお願いをする

運用責任

運用責任者を市場調査部の調査員ではなく、現場のマネージャーにして、電話応対の窓口とすることで、重大な問題に早期に気づけ、早急な対策を講じることができる

顧客レビュー調査には調査会社を雇う

直近の利用者の履歴からサンプルでランダムに何人か取って調査会社にデータを転送する

調査会社は手短な電話をしてレビューに協力してもらう

評価が悪かったら、「利用した支店の支店長からご連絡差し上げてもよろしいか?」と聞き、OKを貰えば、支店長がその顧客に電話をし、謝罪と補填と原因究明をする

SQiが平均以下の人には昇進の資格はないと会社が発表

評価制度

改善を促す仕組み

調査会社と同じ質問はNG

質問は、どうやったら利用経験を向上させるかに焦点を絞ったものであること

実験

新たな方法、戦術、戦略を実行し、それが成果の改善に結び付いたかどうかの記録を取る

ナレッジとして他部署にも行き渡るように、全体共有ボックスに入れると良い

利用後、「顧客体験をもっと良くするために」「問題があった部分について」「私たちに何かできることはありますか?」という応対をする

経営陣ではなく、現場からの本当に良いアイディアを特定し、共有するための意見交換の場を設けること

メンバー同士の投票制度

1〜最下位まで順位付けをする

メンバー同士がフィードバック

その順位にした根拠を説明すること

建設的なフィードバックをすること

良い行動と悪い行動を述べる

威圧的で批判的ではなく、好意的な話し方をすること

顧客に気持ちよく利用してもらうための、顧客接点プロセスごとの研修

NPSの運用

測定するには?

究極の質問を尋ね、それ以外の質問は極力減らす

有効な評価尺度を選び、使い続ける

ベインでは0~10点評価、エンタープライズレンタカーでは0~5

1を最低にすると、10点のつもりで1をつけてしまうパターンがある

自社顧客調査と外部調査会社を利用し、客観的な数値と自社での改善意欲を促進する

財務データと同じ頻度でNPS報告や議論を行う

適切な顧客からの回答率を高めることを目指す

調査単位を細かくして、責任を持たせる

取引先NPSのバイアス

報復の恐怖

解決策

バイアスの原因

取引先より自社が大規模な場合、取引先が否定的な評価を避け、下手に出ざるを得ないケースがある

適切な守秘性を保証する

個々の取引先のスコアを非公開にし、平均スコアを担当窓口には共有する

あからさまに不満な顧客の連絡先を改竄して、連絡できないようにする

実例

チャールズシュワブ(金融)

顧客リレーションシップの阻害要因の洗い出しと撤廃を実施

違約金、口座維持手数料、口座最低残高などの撤廃

アップル

アップルストアでの顧客体験を高める

顧客からのフィードバックを元に改善

NPSが高い従業員を休憩所に映し出す

購入後にFBを取る

スタッフ同士が顧客FBを元に話し合う

NPSが高くなった(9~10点)の店舗をスタンディングオベーションに値すると明示

アセンションヘルス(医療機関)

組織全体の統合評価スコアカードにNPSを盛り込む

セグメント別NPSで重大な問題を絞り込む

NPSでわかった献身的で思いやりのあるスタッフを採用・育成するための人事制度・採用制度変更

プログレッシブグループ(保険)

NPSで批判者の元凶となっている根源を探し出す

NPS向上の評価制度

顧客のポジティブな感想をそのまま綴ったハードカバーの本を贈呈すること

AMEX

「カスタマーサービス部」を「カスタマーケア・プロフェッショナル」に名称変更

NPS2倍を目標に掲げた

推奨者を増やすために契約条件や製品機能など横断的に関わる

顧客問い合わせ電話の平均処理時間を撤廃、好きなだけ話せるように

NPSの成功要因

NPSを成功させる3つの鍵

短期的な取り組みとしてではなく、企業文化の変革と成長に至る長期的な道のりとして取り組んでいる

NPSの顧客フィードバックを組織全体の主要な意思決定の軸に組み込み、学びとクローズドループを作っている

シニア層の経営陣、とりわけCEOがNPSを通した顧客ロイヤリティの底上げを極めて重要な優先事項としていること

2つの柱

動機付け

NPS改善による経済性

NPS向上に向けた信条をまとめた冊子を配る

従業員の顧客への接し方、戦術が信条に即したものであるのかどうかを口すっぱく上長が質問する

目的を明白に伝える

自社の行動が顧客サービスの価値観に沿っているかを確認すること

CFOを味方につける

経済性が認識されなければコストカットの一環で真っ先に切られてしまうのがNPSだから

目先の売り上げを増加させたいという施策を追い求める状況では批判者を生みかねない手数料(悪しき利益)に走ってしまいがち

結果、2006~2009で離職率が50%下がった

ブリティッシュガスサービス

結果

苦情が75%減少

売上高30%成長

不良債権90%削減

ヴァージンメディア

結果

解約率1.8%→1.1%

結果

アップルストア163→320店舗に拡大

1平方フィートあたり、通常の家電量販店の売り上げの約5倍

投資家やアナリストへの報告書にNPSの数字が含まれているか

eNPSの改善も実施

NPSの始め方

NPSを評価に組み込む

NPSのスコア改善を全社会合などで話題に挙げる

NPS改善者を表彰する

NPSを大きく改善した者にインセンティブを渡す

NPSを全社のKPIとして設定する

仕組み

顧客フィードバックを毎日の業務の一部に組み込む

それを元にクローズドループを作る

NPS成功パターンの共通点

アップル&シュワブは批判者に24時間以内に連絡

顧客フィードバックを直接受ける安定した自動フローがなければ、目先の利益目標に終始してしまう

パターンを見つける

ロジクール

共通点

AMEXのように、カード再発行する人はコアユーザーであるとか、カード再発行の後のNPSが20ポイント以上低くなる法則など

ロジクールは、各製品のリリース前に目標NPSを設定

Bluetoothキーボードリリースで目標NPSを下回った。接続、充電のしやすさ、液晶の読みにくさを特定、改善→NPS27ポイント上げる

製品リリースの前にNPSを通すことをリリースの最終関門とした。顧客25人に使ってもらい、NPSが基準を満たすまで再設計のプロセスを繰り返す

短期的には利益を失うが、自社の評判やブランドを守り、長期的な利益を見据えれば、大きな成果

成功してる企業ではミドルマネージャーがNPSの直接フィードバックを聞けるようにしてる

そしてクローズドループを日々のプロセスに加える

会議体

顧客NPS→eNPS→最後にオペレーションや財務の関係というNPS優先的な順番に変更

批判者と推奨者を会議に呼ぶ

NPSへの全社的なコミットメントを示す

NPSを役員報酬やメンバー報酬と連動させる

維持&促進

ネットプロモーターへのコミットメント

従業員のNPS向上における努力に対する見返り

導入

経営層に、NPSの経済性と成長曲線の繋がりわからせる

難しいのは、機能部門の中間層

経営幹部の評価報酬制度の基準に、組織の内部部署のNPS改善度合いを組み入れる

例えば、現在の役員の評価基準が、「新規顧客の開拓と一人当たりの売上高の向上」だとしたら、悪しき利益で利益向上を図ろうとするので、これらに加え、NPSも基準に加えた

採用人材にNPSの説明責任を課す

ただし、顧客に良い評価をするよう頼んではいけない」「明らかに高評価をつけてくれそうな人にだけNPSを書かせてはいけない」「改ざんしてはいけない」など、報酬連動の際は注意書きをする

AMEXの導入事例

経営陣向けに何回もNPS勉強会を開催

経営陣全員がNPSを自分の言葉で語れるようにする

NPSを既存の延長線上に位置付けることなく、全く新しい施策と捉えている

データ分析をとってからが勝負であるため、データ収集に大きな労力をかける

AMEXのNPSに対する考え方

NPSは会社の全社員が向かうべき唯一の方向を示してくれるため、社員が一つの目標に向かわせることができる指標である

取り組み方

まずはやってみる挑戦推進力が大事
推奨者がどれだけの経済効果をもたらすか分析するまで、根本原因の分析をしてからなど、その結果を待つまえに一歩踏み出し行動に移す

NPSを毎月の財務報告書と業績評価に組み込む

アリアンツ

NPSのKPI設定

NPS獲得率のインプット目標とクローズドループによるアウトプット目標を設定

インンテュイット

財務部門と協業して推奨者、中立者、批判者のそれぞれの経済的価値を信頼性のある数字で試算する

財務部という財布の紐を握るパートナーをつけておく

エーオンも財務チームを仲間にするべきと主張している

短距離走ではなく、長距離走だと認識させる

社員に何度も語りかける

語る時は、共感しやすい物語を作り、夢を語るように理想を伝えること

AMEXと同じく、経営幹部が積極的なNPS推進者となるよう支援

入念な調査とFBのプロセスの開発と定着

速やかに対応する顧客とのクローズドループを作る

フィリップス

財務報告書と同じくらい厳格なものにする

最初の成功事例を讃え、賞賛し続ける

NPSの調査プロセスを単純で一貫性を保つものにしなければならない→FBするのがめんどくさくなって集まらないから

チャットや電話などの

どんなデータを取りたいのかに合わせて、NPSヒアリングは取引後かランダムか、匿名かなど、一度決めたらそれ以後の変更は最小限にする

サンプルデータの収集数は、返ってきた1万人分だろうが10万人分だろうが、400人分だけ取れば良い。