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妖怪絵巻の形態的分類 - Coggle Diagram
妖怪絵巻の形態的分類
ストーリーが展開されるタイプ
巻頭から巻末まで一つの物語が展開される
p.53 神農が島退治絵巻
人民を悩ます妖怪を退治すべく、神農が猿丸大夫、鳥海弥三郎、犬丸坊を従えて島まで出かけて退散させるという桃太郎をベースにした物語
p.58 付喪神絵巻
康保のころ(964年-968年)年末の煤払(すすはらい)の日に捨てられた古い道具たちがつくもがみ(付喪神)となって人間を襲い享楽を尽くすが、護法童子や尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)、如法尊勝大法といった密教の法力によって調伏されてしまい、悪行への反省から出家して真言宗をまなび、深山で修行したのちに成仏するという物語作品である。
p.50 二才絵巻
薩摩藩士が山に入り、人を化かす狐を退治しようとする。
狐の仕業によって様々な妖怪が出現しても負けずに最後までかち抜いた
p.65 百物語絵巻
備後三次の稲生平太郎が体験した数々の怪異を描いたもの
p.47 変化絵巻
狐の仕業によって、丹後国の武士の屋敷に出現した様々な妖怪。狐を退治して平穏に戻る。
一つ目入道 不動明王 蟹の化物 大入道 龍 牛鬼
p.70 稲生物怪録絵巻
p.65の百物語と同じ
特徴:①ストーリー性がある。②どうやら多くの妖怪が一気に現れるのは、狐の仕業による場合が多いようだ。③絵巻に出てくるのは人間と同じ空間にいる妖怪だ。
江戸時代からの絵巻は中世からのものと比べれば、
内容面の特徴は、
①日本固有の昔話などに基づいたものが多い一方で、初めて具体的な姿を持った妖怪が続々と登場⇒まだ世間には知られない未知の怪談・妖怪を求めた結果、中国の白話小説を翻案したり、翻案を他の伝承や物語とミックスしたり、妖怪を創作するという事例も多く見られるようになる。
②普通の人ではなかなか入手出来なかった肉筆の絵巻が印刷技術の発展という追い風に乗って、より大衆的な文化、大衆向けのものとなってきた。
③江戸時代からすでに妖怪の実在性を疑問視していた人がいた。また「娯楽傾向」も定着してきた。大衆生活に根を下ろした妖怪たちも、江戸時代後期には、かるた、すごろく、立版古など児童向けの玩具に類する出版物の図柄として使われていた。人々と身近に接する機会が増え、本来は畏怖の対象だったであろう妖怪が人々にとって親しみのあるキャラクターとしても捉えられるようになっていった。
妖怪図鑑的絵巻
いくつもの妖怪を一点一点紹介するようなもの
テキストにおける出現例 まっぴら、うやうやし、なんじゃか、にくらし、バッカン入道、汐吹、ぬらりひょん、ぬりかべ、海男、かみきり、しらちご、とうびょう、がごぜ(江戸時代、以下は明治時代)片輪車、土蜘蛛、見越し入道などかずかず
特徴:①ストーリー性はなく、むしろ百科事典(百鬼辞典)のようなものである。②作家によってその妖怪の外見が異なってくることもあるようだ。③ストーリーとしての合理性などに束縛されることなく、様々な妖怪が紹介できる。
分類
「出現する場所」によって、「山の怪・道の怪・木の怪・水の怪・海の怪・雪の怪・音の怪・動物の怪(実在の動物あるいは想像上の動物)」などに分けられる。
「どのように「化ける」か」という変化の「現世的・精神的・輪廻的(来世的)・具象的」の4種の分類」
「容姿」によって、「人間・動物・植物・器物・建造物・自然物・雑」という7種の単独的容姿と、それらの複合的容姿のどれかであるかという分類ができる
「本体」がどのようなものであるか、類似しているかという「人間・動物・植物・器物・自然物」の5種の分類
分類の背景:具体的な姿を持つだけでは、既に人々の好奇心を満たされなくなった。その本体も追求される上、なんでも妖怪として化けられるようになってきた。また、各地の妖怪譚からも、現れる場所などによる分類の土壌を与える。
百物語的絵巻
短い文章に絵を添えた妖怪譚を何点も収録
特徴:①全体的なストーリーではなく、一つ一つの短い物語からなっている。②作者が地域にこだわらず、全国各地から見聞きしたものを如実に記録したもの。③絵巻というより、むしろ見聞録みたいなもので、作者が絵に才能があったので、絵を追加したという。
背景と成立形態
背景:印刷・出版技術の発展とともに、草双紙や読本など創作作品の題材にも妖怪は盛んに用いられた[23]。庶民も簡単に妖怪絵巻を手に入れられるようになった。それゆえ、各々の妖怪の様相が大衆の間に固定し、日本全国に広がっていった。
これで、絵巻や版本を通じて人々と身近に接する機会が増え、本来は畏怖の対象だったであろう妖怪が人々にとって親しみのあるキャラクターとしても捉えられるようになっていった。
一言でいえば、妖怪も娯楽化されていった。
成立形態:各地から見聞きした怪譚をひとつにまとめて、絵を添付して一冊の百物語的絵巻となる。
テキストにおける出現例 p.72 与謝蕪村の著した化け猫、赤子など8種の妖怪譚が『蕪村妖怪絵巻』に収録。