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中間発表 (このT-spinを学ぶための問題として,本研究ではこの「詰めT-spin問題」を活用する方法を提案しています. (詰めT…
中間発表
このT-spinを学ぶための問題として,本研究ではこの「詰めT-spin問題」を活用する方法を提案しています.
詰めT-spin問題とは,N手でT-spin Double可能な地形を作成せよという型式の問題で,問題地形と着手を行う配ミノが与えられます.
ここに示した図は2手問題の例です.
プレイヤはうまく2つのブロックを配置し,右図のような正解,すなわちT-spin Doubleが発火できる形を目指します.
プレイヤにはまず左図のように問題地形と配ミノが与えられます.
これが詰めT-spin問題です.
ところで,もしみなさんが問題を解くことになったら,なるべく面白い問題を解きたくなるのではないでしょうか.
T-spinはただでさえ難解な技術ですので,単に大量に生成するだけでなく,自ら解きたいと思えるような「面白い問題のみ」選別することが必要だと考えました.
しかしながら,上級プレイヤが「ふむ,これは面白い」と選んだ問題が初級プレイヤにとって面白いとは限りません.
そこで,被験者実験を行い,集めたデータを活用して教師あり学習することで「面白さの推定モデル」を生成し,これによって面白い問題のみ選別することに取り組みました.
このとき,学習には盤面から計算可能な特徴量を合計22個つかいました.
それらのうちの1つが「着手がT-spinで消す隙間に接している辺の数」です.
右の図はこれが多い問題と少ない問題の例です.
左のように少ないと,「T-spinを考えなくても普通は底に置くよね」というつまらない問題になりやすく,逆に右図のように多いと自分の着手によってT-spinを構成する問題となり,面白さに繋がることが予想されます.
こちらは実際に生成したモデルの性能になります.
各赤プロットは問題を表しており,横軸が面白さモデルによる推定値,縦軸が被験者がつけた面白さの真の値となっています.
プロットを見ると,モデルによる推定値が低い問題は確かに被験者も面白くない評価をつけており,推定値が高い問題もき真の値が高い傾向になっています.
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ちなみに,予測値が高かった問題はこのようなものでした.
みなさんは答えがわかるでしょうか.
そして,予測値が高かった問題を上級者が確認したところ確かに面白い問題となっていることが確認できました.
これで,問題の面白さを高い精度で評価することができるようになり,面白い問題のみを選別することができるようになりました
最後に,発表の経歴と今後の予定についてです.
実は本研究は,昨年の11月に,ゲーム情報学において国内最大であるGPWでベストポスター賞を受賞する他,先月には国際会議でオーラル発表を経験しています.
ここまで順調に進んできておりますが,
今後はより難しい問題の自動作成に取り組んだり,本問題をスマホアプリ化し,より多くの学習データを収集可能とできればと考えております.
ちなみに難しい問題生成はすでにいくつか完成しており,これはその1例です.この問題の完成形はT-spin Doubleが2連続で撃てるような形になっています.
以上で発表を終わります.
テトリスというゲームはご存知でしょうか.
多くの方がご存知かと思います.
では,対戦テトリスはご存知でしょうか?
これは通常のものよりも知名度が低いように思われます.
対戦テトリスは,通常のテトリスに加えて,同時消しによって対戦相手にお邪魔ブロックを送れるルールが存在します.
そんな対戦テトリスですが,勝つためには「T-spin」と呼ばれるテクニックを使いこなせることが重要とされています.
にも関わらず,これを効率的に学べる環境は知る限り存在しておりません.
そこで,本研究では「詰めT-spin問題」と呼ばれる部分問題を提案し,これを活用して教育システムを構築することで,T-spinを効率的に学べる環境の提供を目指しています.
その一方でT-spinは難解で習得が困難であり,初心者にとって「最初の壁」とされます
T-spinとは,「~~~」のことです.
1度聞いて分かってもらったと思いますが,1度聞いただけでは理解できない難しいテクニックです.
図で確認してみましょう.
一番左の図の,下2列.こちらはTがすっぽり入りそうですが,そのまま落としただけでは入らない隙間です.
この隙間にTテトロミノを一度接地させ,回転させることで
うまくねじ込むことができ,2列消しができます.
T-spinを活用した2列消しはT-spin Doubleと呼ばれます.
対戦テトリスにおいて,T-spin Doubleは通常の同時消しと比べてたくさんのお邪魔ブロックを送ることができるため重要とされています.
詰めT-spin問題は熟練プレイヤであれば容易に手動で作ることができますが,大量に作るとなれば大きな労力がかかってしまいます.
そこで,本研究ではこの問題の自動生成法に取り組みました.
問題の自動生成には次のような「逆向き生成法」と呼ばれる手法を用いました.
イメージとしては「完成形からブロックを抜いていく」感じです.
まずはじめに「T-spin Doubleが可能な地形」を用意します.
こちらもプログラムで自動で生成します.
次に,この地形からすっぽり抜き取れるようなブロックを抜き取ります.
結果として,抜き取られた地形と抜き取ったブロックは1手の詰めT-spin問題となります.
同様に,1手問題からブロックを抜き取ることで,2手問題を作成することもできます.
この手法を用いることで,2手よりも手数の多い問題も簡単に作ることができます.
これで,詰めT-spin問題を自動で生成することができるようになりました.
面白い詰めT-spin問題のみ選別できるようになったため,今度はこの問題が本当に効率よくT-spinを学べるものなのかを検証しました.
実験は簡単に言うと「対戦のみで練習したグループ」と「詰めT-spin問題を活用したグループ」に分け,練習の前後の成績を比較することで行いました.
結果として,詰めT-spin問題を活用したグループは,対戦のみを行ったグループと比較してT-spinの頻度が著しく向上していることが確認できました.
すなわち,効率的に学べる方法であることが示せました.