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問題54(A)平成21年度類題出題新株発行無効原因について以下の各問に答えなさい。なお,監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社でない公開会社…
問題54(A)平成21年度類題出題新株発行無効原因について以下の各問に答えなさい。なお,監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社でない公開会社における株主割当て以外の方法による募集株式の発行を前提とする。
問題1取締役会の決議を経ずに代表取締役が独断で行った募集株式の発行は新株発行無効原因となるか述べよ。
問題2募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合に,株主総会の特別決議を経ずに行った募集株式の発行が新株発行無効原因となるか述べよ。
問題3募集事項の公示を欠く募集株式の発行は新株発行無効原因となるか述べよ。
問題4募集株式の発行の差止請求を無視してなされた募集株式の発行は新株発行無効原因となるか述べよ。
問題4
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2.規範定立
・口頭または書面での差止請求を無視した募集株式の発行は
新株発行無効原因とはならない
∵口頭や書面での差止請求は,濫用のおそれがあり,
これを無視したことは重大な瑕疵とはいえない
・差止めの仮処分または判決に反して
募集株式の発行がなされたときは新株発行無効原因
∵仮処分などの公権的判断を無視した発行を有効としてしまうと,
株主に差止請求権を与えた趣旨が失われてしまう
問題1
1.無効原因の一般的解釈
新株発行無効原因は明文に規定されていないため,解釈に委ねられる
⇔効力発生後に無効
→新株主や第三者に不測の損害を与えるおそれがあり,取引の安全を害する
→無効原因はできるだけ狭く解し,重大な法令または定款違反のみを無効とするべき
2.問題提起
公開会社
→株主割当て以外の方法
→有利発行の場合を除き,取締役会の決議が必要である
(201条1項,199条2項)。
取締役会の決議を経ずに,代表取締役が独断で行った
募集株式の発行は新株発行無効原因となるか
3.規範定立
取引の安全を図る必要性が高い
→新株発行無効原因とはならない
∵募集株式の発行等は,会社の人的・物的基礎の拡大をもたらす
組織法上の行為たる性質を有する
⇔公開会社においては機動的な資金調達を重視
→授権資本制度が採用され,募集株式の発行を
取引法上の行為に準ずるものとして扱う
∵取締役会の決議は会社内部の意思決定にすぎない
→株式申込人は決議の存在を容易に知ることができない
問題2
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2.規範定立
取引の安全を図る必要性が高い
→新株発行無効原因とはならない
∵1公開会社における募集株式の発行等は取引法上の行為に準ずるものとして扱う
∵2株主総会の特別決議は取締役会の権限行使についての内部的要件にすぎない
∵3株主は,効力発生前には差止請求(210条),効力発生後には取締役等に対する損害賠償責任(423条,429条)や募集株式引受人の差額支払責任(212条1項1号)を追及することによって経済的利益を保護することができる
問題3
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2.規範定立
・原則として新株発行無効原因となる
∵株主に対する募集事項の公示の趣旨は差止請求権(210条)の
行使の機会を与えることにある
→当該公示を欠く場合は差止請求権行使の機会を奪っている
→既存株主の利益を著しく害する
・会社が当該公示を欠いた事以外に瑕疵がなく,差止事由がないことを証明した場合
→新株無効原因とならない
∵公示を欠いたこと以外に瑕疵がなく,
公示がなされたとしても差し止める余地がなかった場合にまで無効とするのは,
公示を絶対視するものであり行きすぎ