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問題39(B)
甲株式会社(以下,「甲会社」という)は,公開会社でない株式会社である。甲会社は,従業員持株会を組織し,従業員に奨励金を支給して自社…
問題39(B)
甲株式会社(以下,「甲会社」という)は,公開会社でない株式会社である。甲会社は,従業員持株会を組織し,従業員に奨励金を支給して自社株式を取得させている。この場合において,以下の各問に答えなさい。
問題1
従業員持株制度と株主平等原則との関係について述べよ。
問題2
甲会社の従業員持株会は,従業員との間で,「退職時に取得価額で会社の指定する者に株式を譲渡する」という契約を締結している。当該契約の効力について述べよ。
問題3
本事案における奨励金が既に甲会社の株主であるAに支給される場合,当該奨励金の支給が120条1項において禁止されている利益供与に該当するか述べよ。
問題1
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2.問題提起・規範定立
・従業員がすでに株式を取得している場合は,
特定の株主に対して奨励金を支給することになる
→株主平等原則との関係でその効力が問題となる
・従業員持株制度には株主平等原則は適用されない
∵従業員持株制度は株主としての資格ではなく
従業員資格に基づいて奨励金を支給するものだから
問題2
1.事案分析・問題提起
①退職時に譲渡しなければならないという点で譲渡の時期
②会社の指定の者に譲渡しなければならないという点で譲渡相手
③取得価額で譲渡しなければならない点で譲渡の価額が制限される
→当該契約が株主の投下資本の回収手段を保障する127条に違反しないのか
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問題3
1.事案分析・問題提起
・特定の株主に対する利益供与の推定規定(120条2項)
・従業員持株制度に基づく奨励金の支給が既に甲会社の株主であるAに対してなされる場合
→120条2項が適用されることになり,利益供与の推定を受ける
・当該支給が株主の権利の行使に関するものでないことを立証できるか
2.規範定立
奨励金の支給の目的
→従業員に対する福利厚生の一環等であることを立証
→権利の行使に関するものでないことを立証することができる
∵目的には,大なり小なり安定株主の形成が含まれていることから
立証は必ずしも容易ではないが
→従業員の財産形成,勤労意欲の向上という目的から立証をすることも可能である
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