Please enable JavaScript.
Coggle requires JavaScript to display documents.
問題9(A)平成27年度類題出題株主総会の決議の効力を争うには,会社法上どのような制度があるか。それぞれを比較して述べよ。 (1.総論…
問題9(A)平成27年度類題出題株主総会の決議の効力を争うには,会社法上どのような制度があるか。それぞれを比較して述べよ。
1.総論
株主総会の決議に瑕疵がある場合,
民法の一般原則によれば,その決議は無効となるはず
⇔決議が成立したという外観が形成された場合,
決議が有効であるという前提で多数の法律関係が構築される
→瑕疵に関する処理を民法の一般原則に委ねるのは,
当該決議を信頼した利害関係者の利益が害されてしまうので妥当ではない
→会社法は法的安定性と法律関係の画一的確定の要請に
応えるため,瑕疵の内容や程度に応じて、
①決議取消しの訴え(831条)
②決議無効確認の訴え(830条2項)
③決議不存在確認の訴え(830条1項)の
3つの制度を設けている
3.決議無効確認の訴え・決議不存在確認の訴え
決議の内容が法令に違反する場合,
決議が事実上存在しないような場合等
→瑕疵が重大
→民法の一般原則により、決議の無効や不存在を主張することができる
⇔画一的に確認する必要があれば,訴えを提起することで,
対世的効力を与えることができる
瑕疵が重大→裁量棄却の制度は存在しない
2.決議取消しの訴え
①招集手続・決議方法が法令定款に違反し,または著しく不公正な場合
②決議の内容が定款違反の場合
③決議に特別利害関係を有する株主が
議決権を行使したことにより著しく不当な決議がなされた場合
→株主等は,決議の日から
3か月以内に提起することができる
∵①瑕疵が比較的軽微
②瑕疵の有無や程度の判定も時の経過とともに困難になる
→法的安定性を確保するため,当然には無効とはせず,
認容判決が確定した場合に初めて遡及的に無効となる(形成訴訟)
一定の要件を満たした場合は裁量棄却が認められる
∵①招集手続・決議方法の法令定款違反は軽微な瑕疵であることが多い
∵②決議をやり直しても同じ結果が予想される
4.3つの訴えの共通点
法律関係の画一的確定の観点から対世的効力
判決の効力について遡及効が阻止されていない
→遡及効
∵決議無効事由および決議不存在事由がある場合
→瑕疵が重大であり,
そもそもはじめから当該決議は無効または不存在であるため
∵決議取消事由がある場合
→決議によって法的安定性の確保の要請が異なる
→不実登記の効力に関する規定や
表見代表取締役などの第三者保護に関する法理によって
第三者の保護を図ることができる