Please enable JavaScript.
Coggle requires JavaScript to display documents.
60b吸収合併・事業譲渡・事業用財産の譲渡の比較 (定義 (吸収合併の定義 (吸収合併は、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社…
60b吸収合併・事業譲渡・事業用財産の譲渡の比較
定義
吸収合併の定義
吸収合併は、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させる行為である(2条27号)
事業譲渡の定義
また、事業の譲渡は、一定の事業目的のために組織化された有機的一体として機能する財産(事業財産)の譲渡であり、
譲受人が事業活動を承継し、譲渡人が21条の競業避止義務を負う契約である
事業用財産の譲渡の定義
これに対して、事業用財産の譲渡は、
事業を構成する個々の財産を譲渡する契約にすぎない
吸収合併・事業譲渡vs事業用財産の譲渡
相違する理由
吸収合併・事業譲渡と株主の利益
吸収合併では当事会社の株主は、
会社の資産状態や合併条件に
重大な利害関係を有しているし、
また、事業の譲渡は会社の運命に重大な影響を及ぼし、株主の利益に重大な影響を及ぼす
事業用財産の譲渡と株主の利益
これに対して、事業用財産の譲渡は
単なる個々の財産の譲渡にすぎない
吸収合併・事業譲渡
株主総会特別決議
そこで、吸収合併・事業の譲渡は、略式合併・簡易合併
(784条1項、796条1項2項)または略式事業譲渡・簡易事業譲渡(468条1項2項)を除き、
株主総会の特別決議による承認が要求され(783条1項、795条1項、467条1項1号2号3号、309条2項11号12号)、
反対株主の株式買取請求権
原則として反対株主には株式買取請求権が認められている(785条1項、797条1項、469条1項)
事業用財産の譲渡
取締役会決議
これに対して、事業用財産の譲渡は、
通常の業務執行行為として一定の場合に
取締役会の専決事項となり(362条4項1号)、
取締役会決議が要求されるにすぎない
吸収合併vs事業譲渡・事業用財産の譲渡
相違点
包括承継⇔特定承継
吸収合併は、消滅会社の権利義務は存続会社に包括的に承継されるが(750条1項)
事業の譲渡・事業用の財産の譲渡は、当事会社の権利義務は特定承継されるにすぎない
株主の移動ありうる⇔なし
吸収合併は、消滅会社の権利義務は存続会社の株式である場合は、消滅会社の株主が存続会社に収容されるが、
事業の譲渡・事業用財産の譲渡は、株主の移動は生じない
清算手続き不要で消滅会社は当然に消滅⇔
譲渡会社は当然には消滅せず
吸収合併は、清算手続きを経ることなく消滅会社は当然に消滅するが(471条4号、475条1号かっこ書)、
事業の譲渡・事業用財産の譲渡は、譲渡会社は当然には消滅しない
会社法上の債権者異議手続⇔会社法上はなし
吸収合併は、財産状態の悪化した会社と合併すると消滅会社・存続会社の全債権者は重大な影響を受けているので、
当事会社の全債権者に債権者異議手続が要求されている(789条1項1号、799条1項1号)
事業の譲渡・事業用財産の譲渡は、
そもそも債務移転には債権者の個別的同意が必要となる関係で、会社法上は特段の債権者異議手続が置かれていない
会社法上の特別な訴えの制度あり⇔なし
吸収合併は、組織法上の行為として
法的安定性の確保が要請され、
手続に瑕疵があった場合は、吸収合併無効の訴えという特別な訴えでのみ無効を主張できる(828条1項7号)
事業の譲渡・事業用財産の譲渡の場合は、
取引法上の行為として、一般原則による無効主張が認められている
相違する理由
吸収合併は組織法上の行為
他方、吸収合併は組織法上の行為であるのに対して、
事業譲渡・事業用財産の譲渡は
取引法上の行為
事業の譲渡・事業用財産の譲渡は
取引法上の行為である
そこで、次の点で異なっている