Please enable JavaScript.
Coggle requires JavaScript to display documents.
26a利益相反取引における会社の承認の要否・取締役の責任 (各取締役の任務懈怠責任の成否 (B (Bは当該取引の利益相反取締役であるから、 …
26a利益相反取引における会社の承認の要否・取締役の責任
利益相反取引(直接取引)の制限
制限の内容・趣旨
取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとする場合、当該取締役は、取締役会設置会社では取締役会の承認を受けなければ成らない(356条1項2号、365条1項)
これは利益相反取引を放任すれば会社は不利な取引をさせられ、重大な不利益を被るおそれがあるので、これを防止し会社の利益を保護するためである
直接取引における「ために」の意義
そして、この利益相反直接取引における
「ために」とは、名義の意味だと解する
なぜなら、間接取引(356条1項3号)も同様に規制されている以上、あえて計算の意味に考える必要が無いからである
したがって、「自己または第三者のために」とは、自己の名義において、または第三者の代表者または代理人として、を意味する
取締役会の承認の要否
甲会社における取締役会の承認の要否
甲会社については、甲会社の取締役であるBが乙会社を代表して当該取引を行うから、取締役Bが第三者である乙会社の「ために」甲会社と取引する場合にあたる
よって、甲会社の取締役会の承認が必要である
乙会社における取締役会の承認の要否
これに対して、乙会社については、甲会社を代表しているのは代表取締役Aであり、乙会社の取締役Bが甲会社の「ために」乙会社と取引しているという事情はない
よって乙会社の取締役会の承認は不要である
取締役会の承認があった場合の
利益相反取引における取締役の任務懈怠責任
取締役会の承認の有無にかかわらず
任務懈怠責任が発生する点の指摘
本問の利益相反取引を行うには甲会社の取締役会の承認が必要であるが、有効な取締役会決議があるので、取引自体は有効である
しかし、承認の有無にかかわらず、利益相反取引によって会社が損害が生じた場合は、取締役に任務懈怠があれば、取締役は会社に対して損害賠償責任を負う(423条1項)
本問では時価5000万円の土地を3000万円で売却しているから、甲会社に2000万円の損害が生じている
甲会社に発生した損害の指摘
任務懈怠の推定規定・趣旨
そして、会社に損害が生じた場合は、
承認の有無にかかわらず、一定の者の任務懈怠が推定されている(同条3項。なお、同条4項により監査等委員会設置会社ではないから、同条4項の適用はない)
これは立証責任を転換して会社の利益保護を図ったものである
各取締役の任務懈怠責任の成否
B
Bは当該取引の利益相反取締役であるから、
任務懈怠が推定される(同条3項1号)
よって、この推定を覆すことだできず、かつ、過失がある場合は、423条1項の任務懈怠責任を負う
C・E
Cは承認決議に賛成した取締役であるから、
任務懈怠が推定される(同条3項3号)
Eは承認決議で反対しているが、議事録に意義を留めていないので、承認決議に賛成したものと推定され(369条5項)、
この推定を覆すことができなければ、
Cと同様に任務懈怠が推定される
よってCとEは任務懈怠の推定を覆すことができず、かつ、過失がある場合は、423条1項の任務懈怠責任を負う
A
次にAは当該取引につき甲会社を代表した取締役であるから、
利益相反取引を決定した取締役にあたり、
任務懈怠が推定される(同条3項2号)
よって、この推定を覆すことができず、かつ、過失がある場合は423条1項の任務懈怠責任を負う
D
取締役会に欠席した取締役Dは任務懈怠および過失がある場合は、423条1項の任務懈怠責任を負う