Please enable JavaScript.
Coggle requires JavaScript to display documents.
19b株式会社の代表取締役が同業他社の代表取締役・支配人に就任する場合 (問1 (A会社側で必要な手続 (競業取引の 制限の内容・問題提起…
19b株式会社の代表取締役が同業他社の代表取締役・支配人に就任する場合
問1
A会社側で必要な手続
競業取引の
制限の内容・問題提起
取締役が自己または第三者のために競業取引をしようとする場合は、当該取締役は、当該取引につき重要な事実を開示して、株主総会の承認(取締役会設置会社では取締役会の承認)を受けなければならない(356条1項1号、365条1項)
同業他社の代表取締役に就任すること自体が
「競業取引」にあたるか
そこで、A株式会社の代表取締役Yが同業のB株式会社の代表取締役に就任することは、競業取引にあたり、就任自体にA会社の承認が必要となるかが問題となる
同種の定型的な競業取引を行う場合の
会社の包括的承認の可否
この点、同業他社の代表取締役に「就任」すること自体は競業「取引」ではないから、就任自体は競業取引にあたらず、会社の承認は必要ではないと解する
しかし、YがB会社の代表取締役に
就任後に競業取引を行う場合は、A会社の承認が必要となる
そして、この場合、同種の定型的な競業取引を行うごとに
会社の承認を求める必要はなく、
包括的承認をすることも認められると解する
なぜなら、このようなケースは企業結合に際して取締役を派遣する場合などによくみられ、もしひとつひとつの競業取引ごとに個別的承認が必要と考えたのでは、企業結合の効果が著しく減殺されるからである
結論
B会社側で必要な手続
結論
(A会社側で必要な手続と同様)
他方、B会社の関係では、YはB会社の代表取締役に就任する前に、B会社の株主総会でB会社の取締役に選任されているはずである
したがって、その時点で前述したのと同様のことが問題となり、A会社の代表取締役に就任していること自体は競業取引にはあたらないが、
YがA会社の代表取締役として行う競業取引についてはB会社の包括的承認が必要となる
問2
A会社側で必要な手続
同業他社の支配人に就任すること自体が
「競業取引」にあたるか
A株式会社の代表取締役Yが、同業のC株式会社の支配人に就任すること自体は、前述したのと同様の理由から、競業取引にあたらず、会社の承認は必要ではないと解する
同種の定型的な競業取引を行う場合の
会社の包括的承認の可否
また同様に、YがB会社の支配人に就任後に競業取引を行う場合は、
A会社の承認が必要となり、それは包括的承認でもよいと解する
C会社側で必要な手続
支配人の選任に一般的に要求される手続
また、YはすでにA会社の取締役である以上、
YがC会社の支配人に就任する時点で、
C会社の許可が必要となる(12条1項柱書4号)
このように、会社と委任契約の関係にある取締役と違って、支配人は会社と雇用契約の関係にあり会社の利益のために専心勤務させるべきとの趣旨から、
支配人には競業避止義務(同条項2号)に加えて精力分散防止義務(同条項1号3号4号)まで課されている
支配人の精力分散防止義務から導かれるC会社の許可
他方、C会社の関係では、支配人の選任は他の取締役や代表取締役に委任できない事項であり、
取締役の過半数または取締役会決議で決定する必要があるから(348条3項1号2項、362条4項3号、399条の13第4項3号)
(なお監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合または定款の定めがある場合は、取締役会決議によって当該決定を取締役に委任できる399条の13第5項6項)
Yを支配人に選任する際は当該手続をとる必要がある