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17a株式会社と取締役の利益が衝突する場合に会社の利益を守るための制度 (総論 (会社の利益を守るための制度の必要性 (取締役会非設置会社では、 …
17a株式会社と取締役の利益が衝突する場合に会社の利益を守るための制度
総論
会社の利益を守るための制度の必要性
取締役会非設置会社では、
各取締役が業務を執行する(348条1項)
また、指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社では、
取締役は取締役会の構成員として業務執行の決定に参加し、
業務執行取締役として会社の業務を執行する
(362条2項1号、399条の13第1項1号、363条1項)
このように、取締役の権限は広範かつ強力なものであることから、
会社と取締役の利益が衝突する場合に、
取締役が私利を図って会社の利益を害するのを防止する必要がある
取締役の報酬に
対する規制
取締役の報酬等を定款または株主総会決議により
定めるものとする規制がある(361条1項)
これは、報酬の決定は本来は業務執行行為であるが、
お手盛りを防止して会社の利益を保護する趣旨である
会社・取締役間の訴訟における
会社代表についての特則
さらに、会社・取締役間の訴訟においては、
本来は代表取締が会社側を代表するはずだが、
馴れ合い訴訟を防止する趣旨から、
監査役設置会社では監査役が会社を代表し
(386条1項1号)、
監査等委員会設置会社では
監査等委員会が選定する監査等委員が会社を代表する
(399条の7第1項2号)、
また、監査役非設置会社でも、
株主総会や取締役会が代表者を定めることも可能である
(353条、364条)
特別利害関係取締役の
議決権行使の制限
また、取締役会決議事項について
特別利害関係のある取締役は、取締役の議決に
加わることができないとの規制がある(369条2項)
これは取締役会決議の公正を確保して
会社の利益を保護する趣旨である
善管注意義務・忠実義務
取締役・会社間の関係を委任関係とし、取締役に善管注意義務を課している(330条、民法644条)
また、忠実義務(355条)も課し、善管注意義務を会社法的に具体的・注意的に定めている
競業取引の制限(競業避止義務)
具体的には、取締役に競業取引と利益相反取引の制限を課している(356条、365条)
競業取引の制限は、取締役がその地位に基づいて
知りえた会社の事業上の機密等を利用して
会社の利益を害するのを防止するため、
取締役が自己または第三者のために競業取引を行う場合は、
株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の事前の承認と
取締役会への事後報告が要求される
利益相反取引の制限
利益相反取引の制限も、取締役がその地位を利用し、
または他の取締役と結託して会社の利益を害するのを防止するため、取締役が利益相反取引を行う場合は、競業取引の場合と同様に規制される
会社と取締役の利益が衝突する場合に会社の利益を守るための制度
取締役の責任の強化・責任追求等の訴え
最後に、上記の規制に違反した等の場合は、取締役は会社に対して任務懈怠責任として損害賠償責任を負う(423条1項)
また、競業取引と利益相反取引については、
会社の利益保護の観点から、一定の場合に損害賠償や任務懈怠の推定規定を設けたり(同条2項3項)、
自己のために利益相反直接取引を行った取締役に無過失責任を負わせたりして(428条1項)、取締役の責任を強化している
さらに個々の株主はこれらの取締役の会社に対する責任を
株主による代表訴訟等によって追求できる(847条以下)
これらは事後の制度であるが、取締役が会社の利益を害する行為を行うことを事前に抑制する効果があるといえる