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16A表権代表取締役・商業登記の効力 (354条の要件 (354条は権利外観理論を基礎として 取引の安全を図る規定であり、 …
16A表権代表取締役・商業登記の効力
354条の要件
①平取締役が代表権を有すると認められる名称を有していたこと(外観の存在)
②会社が平取締役に当該名称を付したこと(外観への与因)
③平取締役と取引をした第三者が
代表権の不存在につちえ善意であったこと(外観への信頼)
善意のほかに無重過失が必要か
354条と908条1項(商業登記の積極的公示力)の関係
あてはめ・結論
本問では、Aは「会長」という名称を有しており、
これは社会通念上代表権の存在を
誤信させる名称といえるから、①の要件は満たす
また、Aは当該名称使用について
取締役会の承認を得ており、②の要件も満たす
したがって、善意の乙に重過失がない場合は
354条が適用され、甲会社は乙に対してその責任を負う
よってこの場合は乙は甲会社に対して
本件契約に基づいて売買代金の支払を請求できる
354条は権利外観理論を基礎として
取引の安全を図る規定であり、
同条が適用されるためには、
①平取締役が代表権を有すると認められる名称を有していたこと、
②会社が平取締役に当該名称を付したこと
③平取締役と取引をした第三者が代表権の不存在について善意であったことが必要となる
③に関して本条についてはその趣旨から、第三者には善意のほかに無重過失も要求されると解する
また本問では本件契約前にAの代表取締役退任登記がすでになされているが、354条は908条1項の例外規定であり、
354条の適用がある場合は
908条1項の商業登記の積極的公示力は適用とされないと解する
なぜなら908条1項の適用を認めてしまうと354条の適用の余地がなくなってしまうからである
事例分析(原則論)
本件契約当時、Aには代表権がないから、
Aの行為は無権代表行為となり、
本件契約の効果は甲会社に帰属しないのが原則である
しかし、Aには「会長」という
代表権を有すると認められる名称が付されている
そこで、354条の表見代表取締役制度を適用して、
乙を救済できないかが問題となる
事例分析・代表取締役の退任が
登記事項である点の指摘
代表取締役の退任は登記事項である
(911条3項14号、915条1項)
しかし本問では本件契約当時、
甲会社はAの代表取締役退任登記をしていなかった
あてはめ・結論
本問では、乙はAの
代表取締役退任につき善意である
よって908条1項前段により、乙は甲会社に対して本件契約に基づいて売買代金の支払を請求できる
908条1項前段の商業登記の
消極的公示力が適用される点の指摘
したがって、取引の相手方の保護を趣旨とする908条1項前段の商業登記の消極的公示力により、甲会社は善意の第三者に対しては、Aの代表取締役退任を対抗できないことになる