Please enable JavaScript.
Coggle requires JavaScript to display documents.
15b無効な取締役会に基づいた代表取締役の株主総会の招集と総会決議 (一部取締役会への招集通知の欠缺がある場合の取締役会決議の効力…
15b無効な取締役会に基づいた代表取締役の株主総会の招集と総会決議
一部取締役会への招集通知の欠缺がある場合の取締役会決議の効力
事例分析・論点の指摘
(問題の所在と問題提起)
取締役会設置会社における株主総会の招集は、
取締役会で決定しなければならない(298条4項)
しかし本問では、取締役会の開催に際して
一部の取締役会に対する招集通知漏れがあり、
この取締役は取締役会を欠席している
この点、取締役会の招集通知は
取締役全員に発する必要がある(368条1項)
そこで、本問の取締役会決議の効力が問題となる
規範定立(自説の結論と理由)
この点、取締役会決議に瑕疵がある場合の効力は、
株主総会決議に瑕疵がある場合と違って特別の規定がないから、
民法の一般原則により、原則として無効であると解する
ただし、招集通知を欠缺された取締役が取締役会に出席しても
決議の結果に影響を及ぼさない特段の事情がある場合
(当該取締役が名目的取締役である等)には、
831条2項の趣旨を類推して、例外的に有効であると解する
なぜなら、このような場合にまで無効とするのは、あまりにも形式的であり、法的安定性を害するからである
あてはめ
本問では、欠席した取締役が名目的取締役である等の
特段の事情は読み取れないから、当該取締役会決議は無効である
取締役会決議を欠く代表取締役の
株主総会の招集の効力
事例分析・論点の指摘(問題の所在と問題提起)
しかし、無効な取締役会決議に基づいて、
代表取締役Aは株主総会を招集している
そこで、有効な取締役会の決議を経ずに
代表取締役が行った株主総会の招集の効力が問題となる
規範定立(自説の結論と理由)
この点、取締役会決議を欠く代表取締役の行為の効力は、無効とすることで守られる会社の利益と有効と信頼した第三者の取引の安全を比較衡量して決すべきと解する
あてはめ
そうすると、株主総会の招集行為は、会社の内部的行為に過ぎず、会社の利益だけを考慮すればよいから、無効と解する
無効な取締役会決議に基づいた
株主総会の招集と当該総会での決議の効力
招集権者である代表取締役が招集した場合
本問の株主総会の招集が無効であるということは、
代表取締役Aが招集した株主総会における当該決議は、
招集権者による招集である点では適法であるが(296条3項、349条1項ただし書)、有効な取締役会決議を経ていない点で招集手続に法令違反がある
したがって、当該決議は株主総会決議取消しの訴え
(831条)の対象となる
よって、一定の提訴権者が当該決議の日から3ヶ月以内に
この訴えを提起することにより当該決議を取り消すことができる
認容判決が確定すれば、当該決議は遡及的に無効となり、
対世効が認められる(838条)
招集権者でない平取締役が招集した場合
これに対して、平取締役Bが株主総会を招集した場合は、
有効な取締役会決議を経ていないという瑕疵に、
招集権者による招集でないという瑕疵が加わる
これはその瑕疵の主張を提訴機関等の面において
制限することが相当でないほど瑕疵が著しい場合であり、
決議不存在と法律上評価される場合と考える
したがって、当該決議は株主総会決議不存在確認の訴え
(830条1項)の対象になると解する
よってこの場合は誰でもいつでもどんな方法によっても
これを主張できるが、必要があれば830条1項の訴えを提起できる
当該訴えを提起して認容判決が確定すれば、対世効が認められ(838条)、遡及効は阻止されない(839条参照)