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8.批判的機能と指導的機能 (批判的機能 (財務諸表の信頼性の確保に対する社会的要請を背景として、財務諸表監査が制度化されることからすれば、…
8.批判的機能と指導的機能
批判的機能
経営者の作成した財務諸表の適正性を批判的に検討すること
財務諸表の信頼性の確保に対する社会的要請を背景として、財務諸表監査が制度化されることからすれば、
財務諸表監査の本質は批判的機能に求められる
しかし、企業内容開示制度本来の目的は、
適正な財務諸表の利害関係者による利用にあって、
この目的は、監査人が批判的機能を発揮することのみによっては、必ずしも達成されない
指導的機能
経営者に必要な助言・勧告等を行い、適正な財務諸表の作成を指導すること
利害関係者は適正な財務諸表の開示を期待しているので、
利害関係者保護の観点からは指導的機能の発揮が望ましい
また、経営者が監査人の指導を受け入れて財務諸表を修正した場合でも、
経営者が最終的決定権限を行使している以上
財務諸表作成責任は経営者にあり、監査人に転嫁されるわけではない
ただし、二重責任の原則からは、監査人の指導を受け入れるかどうかの判断は経営者に委ねられており、
監査人は自らの指導を経営者に強制することはできない
さらに、監査人に対して
指導的機能の発揮を求めることは、
経営者と監査人との責任分担を
曖昧にするおそれがあるため、
指導的機能は、財務諸表監査の本質的機能たる批判的機能を支えう付随機能と理解するべき、と考えられる