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13a招集通知漏れの取締役会決議に基づいた代表取締役の重要な財産の譲受け (重要な財産の…譲り受けの意義 (事例分析・論点の指摘 …
13a招集通知漏れの取締役会決議に基づいた代表取締役の重要な財産の譲受け
重要な財産の…譲り受けの意義
事例分析・論点の指摘
(問題の所在と問題提起)
本問では、そもそも当該工場用地の購入を決定するのに
取締役会決議が必要なのかを検討する必要がある
この点、会社の行う取引が「重要な財産の…譲受け」にあたるなら、
取締役会決議が必要となる(362条4項1号)
そこで、「重要な財産の…譲受け」の意義が問題となる
あてはめ
本問では、売買代金額が甲会社の総資産額の約3割にもあたり、また、事業譲渡等における467条1項2号との対比から考えても、「重要な財産の…譲受け」にあたるといえる
規範定立(自説の結論と理由)
この点、同条同号が取締役会決議を要求したのは、
これらの決定は会社に重大な影響を及ぼすので、
合議体で慎重に判断させるのが妥当だからである
そして会社に重大な影響を及ぼすかどうかは
個々の会社ごとに異なるため画一的には判断できない
したがって、当該財産の代金の額、総資産や経常利益に対する割合、財産保有目的、従来の取り扱い等を考慮し、
相対的に決するほかないと解する
一部取締役への招集通知の
欠缺がある場合の取締役会決議の効力
事例分析・論点の指摘
(問題の所在と問題提起)
ところが本問では、取締役会決議を経てはいるが、
取締役会に対する招集通知漏れがあり、
Yは取締役会を欠席している
この点、取締役会の招集通知は
取締役全員に発する必要がある(368条1項)
そこで、一部の取締役に招集通知がなされず、
当該取締役が欠席して取締役会決議がなされた場合の
当該決議の効力が問題となる
規範定立(自説の結論と理由)
この点、取締役会決議に瑕疵がある場合の効力は、
株主総会決議に瑕疵がある場合と違って特別の規定がないので、
民法の一般原則によって原則として無効であると解する
ただし、招集通知を欠缺された取締役が取締役会に出席しても
決議の結果に影響を及ぼさない特段の事情がある場合
(当該取締役が名目的取締役である等)には、
831条2項の趣旨を類推して、例外的に有効であると解する
なぜなら、このような場合にまで無効とするのはあまりに形式的で、法的安定性を害するからである
あてはめ
本問では取締役Yが名目的取締役である等の特段の事情は読み取れないから、当該取締役会決議は無効である
取締役会決議を欠く代表取締役の代表行為の効力
事例分析・論点の指摘
(問題の所在と問題提起)
当該決議は無効であるが、
代表取締役Xは甲会社を代表して
乙と売買契約を締結してしまっている。
そこで有効な取締役会の決議を経ずに
代表取締役が行った行為の効力を
どのように考えるべきかが問題となる
規範定立(自説の結論と理由)
この点取引の安全を図る観点から
取締役会決議は内部的意思決定手続にすぎないと
考えるべきだから、原則として有効であると解する
ただし、相手方が決議を経ていないことにつき
悪意または善意・有過失の場合は
民法93条ただし書を類推適用して無効と解すべきである
なぜなら、代表取締役は会社の機関として行為している以上、
取締役会の決議と代表取締役の行為を意思と表示の関係と見ることができ、その意識的不一致がある以上、心裡留保に類似しているからである
あてはめ・結論
よって、当該売買契約は原則として有効であるが、例外的に乙が悪意または善意・有過失の場合は無効である