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10a株主総会と取締役会の比較② (代理人による議決権行使の可否 (株主総会 (代理人による議決権行使が許される点の指摘・趣旨…

- - - - しかし株主総会は会社の実質的所有者であ
        る多数の株主によって構成され、
        会社の基本的重要事項を決定する
        
        そこで株主は原則として自らが
        総会に出席して議決権を行使しなければならないが、
        会社の実質的所有者である株主に議決権行使の機会を保障するため、例外的に代理人による議決権の行使が認められている(310条1項)
        
        したがって、株主が代理人を出席させる場合は、
        代理人という株主以外の者による議決権の行使が許される
    - - これに関連して、代理人資格を
        当該会社の株主に限定する定款規定の効力が問題となるが、
        
        総会屋等による株主総会の撹乱を防止するという
        趣旨に基づくもので合理的理由があるから、有効であると解する
        
        ただし、株主総会の撹乱のおそれがなく、
        一定の合理的理由がある場合は、上記の趣旨が妥当しないから、
        その適用が排除されると解する
    - - 以上より、株主総会では株主の代理人であれば議決権の行使は許されるが、
        代理人資格を当該会社の株主に限定する定款規定がある会社では、
        前述した例外に該当しない限り、
        当該会社の株主以外の者が議決権を行使することは許されない
  - - - これに対して取締役は自ら
        取締役会に出席して議決権を行使しなければならず、
        株主とは異なり、議決権の代理行使は認められない
        
        これは取締役は個人的信頼に基づいて経営を委任された者であり、
        取締役会は取締役の協議と意見の交換によって
        一定の結論を得るための制度だからである
    - - したがって、取締役会では取締役以外の者が
        議決権を行使することは許されない
- - - - 株主の代理人でもない者が株主総会で議決権を行使した場合、
        または、代理人資格を当該会社の株主に限定する定款規定がある会社で、
        前述した例外に該当しないのに、
        
        当該会社の株主以外の者が議決権を行使した場合に、
        それにより成立した株主総会決議の効力が問題となるが、
    - - これらの決議は決議方法に
        法令または定款違反がある
        
        したがってこれらの決議は、
        株主総会決議取消しの訴え(831条1項1号)の対象となる
        
        よって、株主等の提訴権者が一定の提訴期間内に
        この訴えを提起することにより取り消すことができ、
        認容判決が確定すれば、当該総会決議は遡及的に無効となる(839条参照)
    - - このような特別な訴えの制度を設けたのは、
        株主総会決議は取締役会決議と異なり、
        会社の基本的事項に関する決議であることが多く、
        株主や会社債権者等多数の者の利害に影響を及ぼすからである
  - - - 取締役でもない者が
        取締役会で議決権を行使した場合に、
        それにより成立した取締役会決議は、
        
        前述した株主総会決議と同様に、
        決議方法の法令違反という瑕疵があるが、
        株主総会とは異なり特別な規定がおかれていない
        
        したがって、民法の一般原則どおり、
        当該決議は原則として無効になると解する
- - - - 取締役会は取締役全員で構成され、
        業務執行の決定と取締役や執行役の職務執行を監督する
        権限を有する機関である(362条1項2項,399条の13第1項,416条1項)
        
        両者はいずれも会社の意思決定機関であり会議体である