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11a招集通知の不発出と株主総会決議・取締役会決議 (一部株主への招集通知の 欠缺がある場合の株主総会決議の効力…
11a招集通知の不発出と株主総会決議・取締役会決議
株主総会の招集通知が
なくても適法に決議できる場合
株主総会の招集通知の発出の原則・趣旨
株主総会を開催するには、株主に出席の機会と準備の余裕を与えるため、原則として招集通知の発出が必要である(299条)
招集通知がなくても適法に決議できる場合
しかし、招集通知がなくても
適法に決議できる場合がある
まず、総会決議事項の全部について議決権を行使できない株主には、
出席の機会を与える必要がないから、
招集通知を発出する必要はない(298条2項かっこ書)
したがって、完全無議決権株式(108条1項3号)の株主、単元未満株式しか有しない株主(189条1項)、相互保有株式規制が適用される被支配会社(308条1項本文かっこ書)等には、
招集通知を発出する必要はない
また、書面投票・電子投票による議決権行使を定めた場合以外は、
議決権を有する株主全員の同意があれば招集通知を省略できる(300条)
これは招集手続によって
保護を受ける株主全員が同意しているからである
さらに、招集通知を欠いても、
株主全員が開催に同意して出席すれば
適法な総会となると解する
なぜなら、招集手続によって保護を受ける株主全員が
開催に同意し、かつ出席しているからである
一部株主への招集通知の
欠缺がある場合の株主総会決議の効力
決議取消しの訴えまたは決議不存在確認の
訴えの対象となること
一部の株主への招集通知を欠いて開催された総会決議は、
招集手続に瑕疵あるものとして、
総会決議取消しの訴え(831条)または不存在確認の訴え(830条1項)の対象となる
両者の区別基準
株主への招集通知もれは、
法的安定性確保の観点から、
原則として取消原因と解するが、
株主数と持株数の両面から考えて、
取消原因として瑕疵の主張を制限することが
相当でないほど瑕疵が著しい場合は不存在原因と解する
両者の内容(相違点と共通点)
招集通知もれが取消原因にあたる場合は、
提訴権者・提訴機関が制限された831条の決議取消しの訴えを提起しなければならず、
提訴なく提訴期間が経過した場合は瑕疵ある決議も有効に確定する
これに対して、不存在原因にあたる場合は、
誰でも、いつでも、どんな方法でもこれを主張できるが、
必要があれば830条1項の訴えを提起できる
また、両者とも認容判決には対世効があり(838条)、
認容判決の遡及効は阻止されない(839条参照)
裁量棄却制度
このように、招集通知もれが取消原因の場合は決議取消しの訴えによるが、招集通知もれという招集手続に法令違反がある場合でも、
違反事実が重大でなくかつ決議に影響を及ぼさない場合は、裁量棄却が認められている(831条2項)
これは招集手続の法令違反等は軽微な瑕疵であることが多く、また、再度決議をやり直しても同じ結果となることが予想されるからである
一部取締役への招集通知の欠缺がある場合の
取締役会決議の効力
論点の指摘(問題の所在と問題提起)
取締役会の招集通知は、取締役全員の同意がある場合(368条2項)を除いて、取締役全員に発する必要がある(同条1項)
この趣旨は取締役全員に出席の機会を与えて
議論を尽くさせるためである
問題は一部の取締役に招集通知がなされず、
そのために当該取締役が欠席して
取締役会決議がなされた場合の当該決議の効力である
規範定立(自説の結論と理由)
この点、取締役会に瑕疵がある場合の効力については、
株主総会決議に瑕疵がある場合(830条,831条)と違って
特別の規定がないから、民法の一般原則により、
原則として無効であると解する
ただし、招集通知を欠缺された取締役が取締役会に出席しても
決議の結果に影響を及ぼさない特段の事情がある場合
(当該取締役が名目的取締役である等)には、
831条2項の趣旨を類推して、例外的に有効でなると解する
なぜなら、このような場合にまで無効とするのは、あまりにも形式的であり、法的安定性を害するからである