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8c株主総会決議無効確認の訴え・株主総会決議取消しの訴え (あてはめ (第二に、甲会社は当該ビル一棟だけを所有し、 …
8c株主総会決議無効確認の訴え・株主総会決議取消しの訴え
結論
以上より、本問のビル売却によって
甲会社に回復することができない損害が生じるおそれがある場合は、
乙は、違法行為差止請求権を行使して、本問のビル売却を阻止することができる
違法行為差止請求権
甲会社が監査役設置会社である点の指摘
甲会社は公開会社であり、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社ではないから、監査役設置会社である
(327条1項1号2項)
違法行為差止請求権の3つの要件
したがって乙が違法行為差止請求権を行使するには、以下の3つの要件を満たす必要がある(360条1項3項)
②本問のビル売却が法令・定款違反行為であること
③本問のビル売却によって甲会社に回復することができない損害が生じるおそれがあること
①乙が6ヶ月前から継続して甲会社の株主であること
あてはめ
第一に、乙は10前の甲会社設立当時からの株主であるから、
①の保有期間要件を満たす
第二に、甲会社は当該ビル一棟だけを所有し、
その賃料のみが会社の売り上げであるから、
当該ビルの売却は重要な財産の処分にあたり、
有効な取締役会決議が必要となる(362条4項1号)
しかし、Aは、取締役に選任される1年前に会社法に違反して有罪判決を受けているから、
取締役の欠格事由(331条1項3項)に該当し、
Aを取締役に選任した株主総会決議は、
決議内容が法令に違反するものとして無効である(830条2項参照)
したがって、・Aは取締役でなかった以上、
Aが参加して行われたビル売却決定の取締役会決議も無効である
そうすると、有効な取締役会決議なく重要な財産の処分が行われたことになり、
本問のビル売却は法令違反行為となるから、②の要件を満たす
第3に本問のビル売却によって
甲会社に回復することができない損害が生じるおそれが
あるかは問題文から明らかはない
あてはめ
本問でも、前述した①の保有期間要件について同様に満たす
問題は前述した②の本問のビル売却が
法令・定款違反行為であるといえるか否かである
この点、取締役の選任は株主総会の普通決議によってなされるが(329条1項、341条)、
Aを取締役に選任した株主総会決議は、定足数を満たしていなかったので、
決議方法が法令に違反するものとして、
株主総会決議取消しの訴えの取消事由に該当する(831条1項1号)
したがって、当該決議の効力を否定するには、
当該決議の日から3ヶ月以内に決議取消しの訴えを提起しなければならないが、
すでに3ヶ月以内に決議取消しの訴えを提起しなければならないが、
すでに半年が過ぎており、もはや当該訴えは提起できない
よって、当該決議は有効に確定し、
Aは正当な取締役である以上、
Aが参加して行われたビル売却決定の取締役会決議も有効である
そうすると、本問のビル売却に法令・定款違反はなく、
他に法令・定款違反となる事情がなければ前述した②の要件は満たさない
結論
以上より、乙は違法行為差止請求権を行使して、本問のビル売却を阻止することはできない