54A株式と社債の異同・接近化

定義

株式

社債

共通点

相違点

総論

法的性質の違い

各論

会社の経営に参加する権利の有無

剰余金の配当・出資の払戻し
利息の支払い・償還

解散時の残余財産の分配、弁済

株主平等原則の適用の有無

発行できる会社の種類

事実上の接近化

法律上の接近化

株式の社債化

社債の株式化

均等に細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員たる地位

会社法の規定により
会社が行う割当てにより発生する
当該会社についての定めに従い償還されるもの(2条23号)

公衆から長期かつ多額の資金を
調達する手段として利用される点で共通

細分化された割合的単位の形をとり、その流通性を高めるために有価証券を発行できる(214条、676条6号)

公開会社では原則として取締役会決議で発行できる
(201条1項、199条2項、362条4項5号、399条の13第4項5号等)

株式

外部資金を自己資本として調達する手段

株主は会社の内部構成員であり、実質的所有者としての社員である

社債

外部資金を他人資本として調達する手段

社債権者会社の外部者であり、純然たる債権者にすぎない

株主

会社の経営に参加する権利

株主総会における議決権等(308条1項、303条等)種々の監督是正権(360条、847条)を有する

社債権者

会社の経営に参加する権利は認められない

株主

分配可能性に応じて不確定な剰余金の配当しか受けられない(453条、461条)資本維持の観点から原則償還を受けることができない

社債権者

確定的に一定額の利息を受けることができ(676条3号5号)、償還期限が到来すれば償還を受けることができる(同条4号)

株主

残余財産があれば株式数に応じてその分配を受けうるにすぎない(504条)

社債権者

一般債権者と同順位で株主に優先して会社財産から弁済を受けうる

株主の権利

原則として株主平等原則(109条1項)が適用される

社債権者の権利

発行毎に発行契約によって定められるので異なる(676条柱書参照)

株式

持分会社は発行できない

社債

単なる債権だから持分会社でも発行できる(676条、2条23号参照)

資金調達手段という経済的機能では共通する

株式における配当の平準化や
株主の経営への不参加
社債における償還期限の長期化

剰余金配当優先株式
(108条1項1号)

特に非参加的累積的優先株式

社債同様の安定した
剰余金の配当が可能となる

取得請求権付種類株式
取得条項付種類株式
(同条項5号6号)

償還と同様の結果をもたらす

残余財産分配優先株式
かつ完全無議決権株式(同条2号3号)

残余財産分配と経営参加の点で社債に接近可能

新株予約権付社債(2条22号)

潜在的には株式である

社債償還期限を長期または清算時

償還を一般債権者に劣後させる